高槻の小中学校に日の丸を常時掲揚するな

 高槻市教委は、6月1日から高槻市内の全小中学校で、常時「日の丸」を掲揚しようとしている。今日はその反対集会。市役所が終わる午後5時15分からその反対集会が市役所前広場で行われた。その時の経過報告は以下の通り。


 集会にご参集いただいたみなさん、ご苦労様です。

 高槻市内の公立の全小中学校に常時、つまり日曜から金曜日まで、学校があいている間はずっと学校の掲揚台等に、「日の丸」を掲げるという4−15通知文書、そしてこれについての、高槻市教育委員会の5月17日のでたらめな説明に怒った市民の間で緊急に作り上げた組織である「高槻市の小中学校に日の丸を掲揚を許さない会」の連絡先役を仰せつかっております和田と申します。

 まずはじめに、高槻市教育委員会が、期限ぎりぎりの今日の午後になって、わずか8行の回答文書を寄せ、私たちの求めた話し合いには応じられないと言ってきたことをまずご報告しなければなりません。

私たちが、4−15通知なるもの、高槻市教育長名で発出された各学校長当ての、「学校における国旗掲揚に関する指針の策定について」という通知文書を知ったのは4月中旬でした。これは、70年あまりにわたって公立の小中学校に「日の丸」を掲げてこなかった、高槻市の教育内容を大きく変えるものであると考えた私たちは、市の真意を聞こうと高槻市教委に説明する機会を求めましたが、途中で連休を挟んでしまい、結局5月17日に高槻市教育委員会が説明することになりました。

 5月17日の説明で私たちはさらに驚きました。説明に出てきたのは、校舎の管理を行う教育委員会の教育管理部総務課で、その説明は、お配りしているビラにありますように、「日の丸」を掲げるのは、そこに「掲揚台があるから施設管理の立場で掲揚する」、6月1日からというのは警備契約上の問題であること、警備員が原則的に上げ下ろしを行うこと。学校の掲揚台に「日の丸」を掲げる法的根拠はないこと。市の規則にも条例にもないこと。学校長には「指針」を通知しただけで、強制はしていないこと。(もちろん揚げない校長がいれば指導はする) 教育委員会から各校のPTAには連絡していないこと。教育委員会にも諮っていないこと。議会説明もしていないこと。「日の丸」常時掲揚の考え方、児童生徒の教育内容について言及されるなら、管理上の問題と考えているので、市教委総務課では答えられないこと。などといういい加減なものだったからです。

 さらに、その指針そのものが杜撰きわまりないもので、「掲揚を行う者として、警備員がいない場合は「学校職員」が行うとしているのは学校教育法違反である」との私たちの指摘に、その場で改正通知を出すという返事をするといういい加減さでした。

 もちろん私たちは、日の丸掲揚の問題は、単なる「日の丸」掲揚がいっぺんの通知ですむ問題ではないこと。戦前の日本が、朝鮮、中国、そしてアジアの各国に侵略していったときの旗印であり、学校という教育の場、それも義務教育の場に掲げてはならないことを指摘しましたが、それより以前にこの問題について、民主的な手続きが踏まれていないことが大きな問題であることも併せて指摘しました。

 さらに、日の丸常時掲揚が、市教委の無責任体制の中で実施してされようとしている点も問題にしました。教育指導部に言えば学校管理の問題として学校管理部所管である、学校管理部に聞けば「窓があればガラスを入れるように建物管理上掲揚する。教育への教育指導部の所管で、影響については管理部は答えられない」と言う。教育委員会に聞けば、教育委員会で決めたわけではない。事務方の教育長が専決でやられたこと。校長に聞けば、市教委から通知があったから。市教委に聞けば強制はしていない。学校長の判断でされたこと・・・。これほどの無責任体制はありません。

 このような無責任体制の中、一般市民はおろか私たちの代表である議員にも知らせないまま「日の丸」を掲げるというのが教育委員会の方針だったのです。

私たちは、高槻市教委の「日の丸」を学校に常時掲げることに教育上の影響についての大きな認識不足、「日の丸」常時掲揚決定の非民主性、市教委の無責任体制を糾弾すべく、6月1日からの「日の丸」常時掲揚について反対の要請書と質問書を教育委員会に提出し、話し合いの機会を求めるとともに、説明会以降連日高槻市内のターミナルや集会前で胸にゼッケンを張って抗議の宣伝活動をしました。また、高槻市の職員さん向けのビラを作成し、早朝ビラ700枚も配布しました。ネット署名も行い、現在170名の熱い抗議の署名をいただいています。ホームページも立ち上げました。メールで知人友人に高槻市教委宛抗議文を送付していただくよう呼びかけもしました。このほか、各学校長宛て市教委は「日の丸」掲揚を強制していないのだから掲揚をやめてほしいという要請、各校のPTA会長宛校長や市教委に「日の丸」を掲揚しないよう申し入れてほしいとの要請をしました。さらに、高槻市に再度の話し合いを求めています。また、本件通知に至った経過のわかる文書すべての情報公開請求も行いました。

こうした活動の中で、多くのエピソードも生まれてきています。まずは、「えっつ!」という市民の驚きの反応が一番多かったということを報告しなければなりません。次に、多くの方から「いややねぇ」、「頑張ってください」「なんだか、戦時中に突入するかのようなやり方ですね。」という声かけを多くの方にいただきました。さらに、「この時代に日の丸掲揚に反対してくれるあなた方の活動に敬意を表する」とのうれしいお言葉もいただきました」「戦争の悲惨さ」について話しかけてきてくれた方もいました。立ち止まって「何故いけないの」と話しかけてこられる方にはよく説明し納得いただきました。ビラの受け取りもよく、既に3000枚以上の個性的なビラが高槻市内で配布されるに至っています。「俺は「日の丸」賛成」と議論をふっかけてきた方々は、最後の別れ際には、「アホ」とか「おまえ日本人ちゃうやろ」と言い捨てて行かれる方が多いのが印象的でした。

 こうした活動の結果の回答が今日の市教委の回答です。この回答は、5月17日の説明よりも後退しており、3つの問題点があります。一つは、「日の丸」をもの扱いして、学校教育に与える影響を極端に過小評価し、建物管理の一環としている点です。二つ目は、説明会では、法的根拠がないと言っていたものが、国旗国歌法をその根拠だと言っている点です。ご承知の通り、国旗国歌法は単に国旗と国歌を定めているだけで、強制力はありません。それどころか、「強制してはいけない」という付帯決議までついている代物です。3番目には、昨年の9月議会の自民党議員への答弁と同じく、高槻市として掲揚することが重要であると考えていると露骨に言い出していることです。


今日までの活動の中で、今高槻における「歴史の逆行を許さない、歴史の教訓から学んで進む」平和の闘いの最前線がこの高槻の小中学校に「日の丸」を許さない闘いになっていると私は考えています。

 安倍政権は、オバマの広島訪問、TPPの国会議決の先延ばし、消費税2年6ヶ月延期の『』付きの英断を手土産にし、「あなたは経済のことを第一義的に考えた2年半の消費税増税延期を認めてくれますか」と言う悪魔のささやきに似たたことをただ一つの争点にし、「憲法改悪と昨年の戦争法の実施是か非か」という争点はずしで、これまた憲法蹂躙のダブル選挙を行おうとしています。大変な選挙まさに天下分け目の選挙を私たちは控えています。
 この時期に、高槻市の小中学校に「日の丸」を常時掲げる選択を許していいのでしょうか。伝統ある高槻市の教育、解放教育、障がい児教育、多文化共生の教育、その伝統をこれまではぐくんできた高槻の教育をこんな形で逆行させるでもいいのでしょうか。

 私たちは、明日、集会後会議を開き、今日の回答を受けた明日の行動を確認する予定です。なお、15:30から17:30までこの場所でのスタンディングは既に決定していますので、お時間をある方は是非ご参加ください。
 力関係からして1歩後退を余儀なくされるかもしれません。一度校舎に上がった「日の丸」を下ろすのは並大抵のことではありません。私たちは明日1日を大事にするとともに、後退を余儀なくされても、山田さんの不当な再任用拒否、荒井さんの戒告処分撤回・不利益回復の闘い、全国で闘われている「日の丸」・君が代反対の闘いとも連帯して、さらに闘いの輪を広げながら、全国のなかまと連帯して闘いを続ける覚悟でいることをみなさんにお約束して私の経過報告とさせていただきます。