配偶者控除が廃止・縮小される?

 政府税制調査会が専業主婦の所得税を軽減する配偶者控除の廃止又は縮小の議論を始めた。

 私は配偶者控除の廃止、縮小に反対である。むしろ拡大すべきと考える。

 もとをただせばこういうことだ。現規定は、合計所得金額が38万円以下であれば配偶者控除が受けられるとなっている。また、給与所得控除の最低金額は65万円だから、65万円+38万円=合計103万円未満の給与収入(パートなど)を得ている妻たちは夫の配偶者控除が受けられる。

 ここで、妻たちは103万円以上働けば夫が配偶者控除を受けられなくて損をすると考える。というよりは、政府やマスコミの宣伝、いわゆる「103万円の壁」にそう考えるよう煽られてきた。
 実はそうではない。今でも、逆転現象が起きないように、特別障害者控除といって、給与収入で140万円までは少しずつ減額されるだけだ。

 また、103万円、140万円は、この限度額があるため、女性の社会進出が狭められているのだろうか。また、私の問題意識として不当に高い数字だろうか。

 140万円÷12ヶ月÷22日間÷6時間=883円、
 103万円÷12ヶ月÷20日間÷5時間=858円

 つまり時給858〜883円で1日5〜6時間、月に20〜22日間働いてやっと手にする年間収入なのだ。これは机上の計算でもっと現実は厳しいはずだ。大阪府最低賃金が819円だから、それとあまり変わらない低い給与で働いていることになる。

 私はこの収入制限を不当に低いものと考える。年間基礎控除38万円(月額31,666円)は不当に低いし、給与所得控除の最低金額65万円(月額54,166円)も低い。これらには家事労働、憲法の保障する健康で文化的な最低限度の生活費が反映されていない。

 政府は私のようには考えない。それなら配偶者控除をなくせば女性は「103万円の壁」にこだわらず働ける。女性の社会進出を狭めている配偶者控除を廃止縮小していこうというのだ。

 マスコミも、この種の報道には、女性パート労働者の年末の給与調整(働く時間を103万円未満に調整している)のコメントを入れるし、雇用主の年末の人手が足りないときに困るというコメントも入れる。しかし、女性が働いている労働条件、生活の実態にメスは入らない。

 次に、130万円の壁というのがある。これはまさしく壁だ。これはご主人の健康保険の被扶養者には入れる制限のことで、これを超えると国民健康保険に入って国民健康保険料を負担しなければならなくなる。また、これ以上の収入のある方は国民年金の加入者になって、月額15,250円の国民年金保険料を支払わなければならなくなる。これも所得制限を緩和すれば解決することだ。

 しかし、政府はそのようには言わない。不平等だからサラリーマンの妻からも保険料を取ると言い出す始末だ。

 どこまで我々をいじめたら気がすむのだろう。世の中にはもっと税金を納めなければならない方がたくさんいるはずだ。税金は応能負担が原則、あるところからとれと改めて言いたい。