次回選挙から高槻市議会の定数は34人に2人減

 すでに議会報告でお知らせした通り、来春の統一地方選挙から定数が2削減され34人になる。

 2011年の統一地方選挙では、公明党が議員の削減と議員報酬の削減を公約していた。その他にも、みんなの党のお一人が定数半減、維新の会のお一人がが、銀定数、議員報酬の削減を公約されていた。このほか、直接には公約されていないが、行政改革の徹底を歌えた方が2人おられた。

 36人定数の12人だから明らかに少数意見であるが、議会のあり方検討会では、少数意見のこともすべて協議し、全会一致をみた項目から実施していくこととし、定数問題は3者の意見併記で、今後検討を重ねていくという問題でした。

 しかし、多数による横暴、公明、民主、自民、市民連合議員が提案者となり、議会の最終盤に即決議案として提案されたのです。私は以下の理由から反対しました。以下に、議会での私の提案者への質問と反対討論を記載します。


議員定数議案第1号高槻市議会議員定数条例中一部改正について
Q.1
2011年の統一地方選挙で、選挙公報に公約として「議会改革と行政のスリム化」を第一番に掲げられ、そのトップに「議員報酬と議員定数の削減」を党派として、一致して掲げられたのは、公明党の8人の皆さんでした。また、「市民感覚の政治に取り組む」として、議員報酬の削減!議員定数の削減!を掲げられた維新の会のお1人、さらに、公報の約4分の1のスペースを割いて議員定数、議員報酬削減でなく、大幅減を訴えられたみんなの党のお1人がいらっしゃった。さらに行政改革を訴えられた方が2人いらっしゃった。多く見積もっても36分の12人、3分の1と記憶しています。

 こうしたことから、議員定数、議員報酬の削減は一連の公約であると考えます。そこで、お伺いしたいのですが、今議会には、第1号議案で「議員定数の削減」、第2号議案で「議員報酬の削減」が提案されているのですが、私はこの2つの議案はあい関連する議案であると考えています。

 議員提出議案1号「高槻市議員定数条例中一部改正について」の提案者は、議員提出議案第2号「高槻市議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例中一部改正について」に盛り込まれている「議員報酬削減」にも賛成なさるのでしょうか。それとも36名から34名にして、「総枠で議員報酬が削減される」のだから「個別の報酬の削減」には反対、あるいは有識者の審議を経ない「暫定措置だから」反対なさるのでしょうか。提案者すべてについて態度をお示しください。また、もし、議員提出議案2号に反対なさるのであれば、何故定数削減を優先し、個別の議員報酬削減を後回しになさるのか、その理由についてもお伺いします。

 議員定数を削減することは、国民、住民の意思を、正確かつ公正に選挙制度で議会に反映させるについて、不十分きわまりないものになります。我が高槻市は、大選挙区制ですから小中の選挙区制よりは民主主義が保障されてはいますが、それでもやはり、定数の削減は組織をもつ方、多数者に有利になるだけで、組織をもたない者、少数意見の者にとっては厳しい選挙制度になってしまうことはこれまでの経験からして明らかです。少数意見の切り捨てに向かって走り出すことにつながります。

このように定数削減は議会制民主主義の発展にとって支障になるものであり、議会を「市民の意見の縮図」たらしめんとする私の考え方とは全く正反対の考え方だと思うのですが、提案者のご意見を承りたいと思います。また、何故2名なのか。これで、公約は果たせたのか。これでは削減したとは言えず、さらに削減なさろうとお考えなのかについてもお伺いします。

また、議会あり方検討会が、平成25年3月8日に、当時の中浜議長宛提出された最終報告では、「合意の結論を得られなかった項目については、今後の動向を見ながら、必要に応じて、協議の場を設けるべきである。」とされています。提案者は、定数問題について、「結果としては、削減すべきであろうという意見が多数であった」とおっしゃいますが、議員定数問題については,「削減意見」「一定の議論できる人数は確保すべき」「1万人に1人で妥当、現状維持」の3意見と、合意の結論を得ていない項目です。今回の提案は、議会のあり方検討会の「最終報告」が求めている、「協議の場」での検討を経ておらず、最終報告の内容とは違ったものになっているのですが、何故今回の提案が唐突に行われたのかお伺いします。


Q.2
私は基本的には議員定数の削減も議員報酬の削減も反対です。真面目に議員活動をしようと思えば、現在の報酬でも足りないことは、議員の皆さんそれぞれがご承知のことではありませんか。市職員という各分野の専門家集団相手に、専門外の問題も含めて様々な問題を対等にチェックしようと思えば、その情報を得るための費用と努力は並大抵のことでは出来ません。議員はボランティアでやれという意見がありますが、専門化した社会の中で、それは現実的に無理な要求です。議員も高度の専門的知識と経験が欠かせない常勤職でなければ出来ない職であると私は考えています。
 確かに66万円という議員報酬は高額です。しかし、議員になってお金持ちになられたでしょうか。収入も増えたけれども支出も増えた。全く生活ぶりは変わらない。かえって預金を取り崩している方が多いのではありませんか。これが議員生活の実態です。ですから私は議員報酬を削減する2号議案にも反対です。
 しかしながら、この提案が議論を重ねた上で、財政上もどうにもならない状況、議員集団の専門的知識をもってしても、職員集団の専門的知識をもってしてもどうにもならない、市民の皆さんもとうてい納得できないという財政状況にある。どちらかをどうしてもとらなければならない危機的財政状況にあるとすれば、私は自分の報酬減の道を選びます。
 今回の提案とは、私は順序が真逆の立場、自らの議員報酬はそのままにして、民主主義の根源たる議員定数を削減することは、私にはとうてい考えられません。何故議員定数だけを削減し、議員報酬はそのままになさるのか改めてお伺いします。


Q.3
 縷々ご説明をいただきましたが、その理由の一つ一つ、手続の一つ一つが納得できません。
 定数を削減する本案件は、市民の投票権日本国憲法に定める市民自らの「正当な選挙によって議員を選出する権利」、住民が主体になって自治を行っていく「地方自治の本旨」に反する条例の改悪であることに変わりありません。

 また、私たち自らが定めた手続、最終報告の、「合意の結論を得られなかった項目については、今後の動向を見ながら、必要に応じて、協議の場を設けるべきである」とされた「協議の場」での検討を完全に無視したものです。

 提案者は、民主主義の根幹に関わる選挙制度の問題を、高槻市民が提案されたことさえ知らない中で、「提案したその日に即決せよ」とおっしゃいます。市民の意見表明権を軽んじる、議会審議の蚊帳の外においたことになってしまう、「合意を無視した多数横暴の提案」だと私は考えます。

 私は、提案者に本件を取り下げていただくことを求めるとともに、「協議の場」でさらにご検討いただくことを提案したいと考えます。最後に提案を取り下げる意思はないのか、継続審議として「協議の場」でさらに検討するという意思はお持ちでないのか改めてお伺いします。そうでなければ、私はこの案件には反対の立場を明確せざるを得ません。



【本会議での採決の前の反対討論】
 無所属の和田たかおです。私は本議案に反対の立場から討論に参加させていただきます。

現代日本の民主主義にとって一番考えなければならないことは何でしょうか。
 それは、主権者たる国民、住民の意思を、正確かつ公正に選挙制度で議会に反映させるにはどうすればいいのか。国民全体でその論議を深めることであり、今そのことが一番強く求められている時期であると私は考えています。

【一昨年末の衆議院選挙は、60%を割る史上最低の投票率小選挙区における204万票の白紙を含む無効票、政権を取った政党は得票数で220万票減らし、得票率も27%で大差ないのに、議席数だけが119議席から一挙に約2,5倍の294議席となりました。(27%得票の議席数は130議席にしかならない)これは、小選挙区制という選挙制度に問題があるとしか考えられません。3,770万票にのぼる死票がそれを物語っています。国政選挙制度の問題でこれだけの死票を出していいのでしょうか。】

 高槻市議会議員選挙においても、過去4回の選挙結果を調べてみますと、議員定数を36から34に減員したとしますと、1999年の選挙で死票が4,276増えて19,472票(13,7%)、2003年の選挙では3,909増えて20,217票(15,3%)、2007年の選挙では、4,728票増えて21,306票(14,8%)、2011年の選挙では、4,645票増えて22,187票(15,3%)この結果から見ても、4,000票〜5,000票近く新たな死票が生まれ、落選者合計で20,000票近く、有効投票の約15%、削減前の約3ポイント増の死票が新たに生まれ出ることになります。そして結果的にではありますが、少数意見が反映されなくなる事態になるのです。

 中選挙区制当時の衆議院選挙の大阪3区は、涙の12万票を2回、涙の11万票を1回経験している土地柄です。こうした点からも、どれだけ死票を生み出さないか。多くの意見をくみ上げるか。定数問題は高槻市民にとって歴史的な課題でもあり、軽々に定数削減を提起することは慎むべき問題と考えます。

 今(いま)議会、地方議会に求められている課題は、まず「定数削減ありき」という「行政改革」という名の「庶民の生活を追い込み、痛みつけている新自由主義的、構造改革的な発想」ではなく、主権者たる国民、住民の民意を反映した議会、「市民の意見の縮図としての議会」を如何につくっていくかという民主主義の課題として、また、憲法の要請する地方自治の本旨からして定数削減を安易に行っていいのか真剣に考えなければなければならないというものです。住民の皆さんには、このように公正かつ正確に民意を反映させる選挙制度、選挙定数のもとで投票する権利があり、これを我々議員が手続をも無視した唐突で軽々な議論で決定することは許されません。

選挙制度の研究者からも最近の議員定数削減傾向については「地方自治の弱体化」「参加の縮小」「代表制の薄れ」「多様な意思の反映が出来ない」「行政への管理機能の低下」等が指摘され始めています。

 政治判断というものは、それが適切なものもあれば、民主主義を危うくするものもあります。多数の方が政治判断なさっても、それについて一定の議論がなければ多数の政治判断のみが優先されることになり私は納得できません。

私は午前中に申し上げましたように、第1号議案の提案者が本議案を取り下げていただくなら、第2号議案には賛成するつもりでした。何故なら、お互いの妥協点を見つけることも民主主義にとって大事だからです。しかし、その意思はお持ちでないようです。提案を取り下げず、あくまでも強行しようとなさるのであれば、私も自分の意見を曲げずに1号議案にも2号議案にも反対させていただくことを表明させていただき反対討論とさせていただきます。

 なお、高槻市議会の名誉のためにあえて言わせていただくと、議会は「協議(集まって相談する)場」ではなく、審議(ある物事について詳しく調査検討し、その善し悪しを決める)場」であることを確認しておきたいと思います。以上です。

【 】内は議場では略しています。最後のなお、以下は、提案者が答弁で議会は協議の場と答弁したことからこれに反論したもの。