12月議会の一般質問

 12月議会の一般質問では、国民健康保険の保険料の問題について取り上げました。

(1問目)
おはようございます。和田たかおです。
 今回は高槻市国民健康保険制度についてお伺いします。2つめに予定しておりました放射能汚染問題については、大阪市舞洲の試験焼却の問題を質問しようと考えていましたが、お示しできる正確な資料が届かないため、後日に改めさせていただきます。
 また、国民健康保険制度の問題についても、財源の問題や保険給付の問題なども質問したかったのですが、膨大な分量になることがわかり、今回は国民健康保険料を中心にお伺いしたいと思います。さて、この問題では、先輩議員の方々があらゆる角度からこれまでにも質問されてきました。改善を求める意見書も決議されてきました。しかし、私から見ると、長期の不況下で、さらに市民生活が危機にさらされていていることから、改めて質問させていただくことにいたしました。
まず、高槻市国民健康保険制度についての基本認識ですが、高槻市の「国民健康保険だより」、このしおりは8月の本算定保険料決定通知書と一緒に郵送されるもので、窓口にも常備されているものですが、これを拝見していて一番最初に思うのは、国民健康保険制度の目的がはっきり記載されていない。市町村が国民健康保険を実施するに当たり、どういう理念でもってその目的を達成していくのか。そのために国や府がどういう役割を果たしていくべきかということが明確にされていないことです。
それらしき記載が最終ページの「国民健康保険のしくみ」のところに掲載されているのですが、赤の地に白抜きで「増加する医療費」との文言が掲げられ、「助け合いの制度」であるとのみ記載されています。確かに、老人福祉法とあいいれない関係にある高齢者を差別する制度、後期高齢者医療制度介護保険の説明であれば、「国民の共同連帯の理念」が法律の中でうたわれているわけで、この記載で仕方ないかもしれませんが、 国民健康保険制度は全く別の理念で運営されている制度です。
 まずはじめにお伺いしたいのは、国民健康保険制度の理念というものを高槻市はどういうものとして認識されておられるのか、旧国民健康保険法とどこが違うのか。現行の国民健康保険法第1条にどのように記されているのかというのをまずご答弁ください。そして、何故現行法が目的とする理念を明確に「国民健康保険だより」に記載しないのかについてもお答えください。
 次に国民健康保険というと保険料が高いので知られています。特に大阪は高い。私も母親を東京から引き取ったときにその高さについて思い知らされました。
 そこで2点目にお尋ねしたいのですが、40歳未満で給与が年収420万円(月収30万円×14、所得で約280万円、国民健康保険の加入者とすれば平均より高い収入になりますが)こういう世帯で配偶者と子ども2人がいた場合、年間の保険料は国民健康保険ではいったいいくらになるのか、協会けんぽではいくらになるのか、あなた方の加入している大阪府市町村職員共済組合ではいくらになるのかお伺いし、これを1問目と致します。


(2問目)
 1959年施行の現行国民健康保険制度は、今健康福祉部長が答弁されましたように、その第1条で「社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」とし、社会保障の制度として存在しています。そして、第4条で国の責務として、「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるように努めなければならない」とされています。
 日本国憲法第11条基本的人権の尊重、憲法13条の個人としての尊重。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利の尊重義務、憲法25条の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、国の社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進義務、に守られた制度であるということです。
 こうした国民健康保険制度の理念をしっかりと受け止め「国民保健の向上」がはかられるためには、その理念が制度の隅々まで行き届いている必要があります。しかし、現実にそうはなっていない。1938年の旧法で、「国民健康保険は相扶共済の精神に則り(中ほどを略しますが)保険給付をなすことを目的とす。」となっていたのが、新法で社会保障制度とされたのです。しかし、最近中身がだんだん旧法に戻ってきている。また、第4条を素直に読めば、国の責任放棄が今日の国民健康保険制度の後退、市民の「いのちの危機」の原因であることは言うまでもありませんが、高槻市もそれに追従していると言わなければなりません。その一例が、「国民健康保険だより」の記載で、社会保障制度にもかかわらず、その理念がきちんと示されていない。この文面は明らかに間違った認識であることをまず指摘しておきたいと思います。
 次に国民健康保険制度は市町村が実施するものであり、百歩譲って助け合い的な面があるとしても、「お互いに大変ですね」という市民同士が立場を理解し合うのがまず基本であり、医療費の増加を押さえることに理解を求めるのは本末転倒です。高槻市にも今日の国民健康保険制度の危機、国民健康保険制度の加入者は、加入手続きをしていない「無保険者」と呼ばれる潜在被保険者も含めて先ほど申し上げたように、まさに「いのちの危機」に立たされているのですが、これを救済する高槻市独自の制度が脆弱なことにも大きな問題があると私は考えていますので、高槻市の現状について次にお伺いしたいと思います。
 1点目は保険料減免制度についてです。高槻市国民健康保険料の減免要綱をもっておられますが、過去3年間の減免申請数と認定数と金額についてお伺いします。
 2点目はさらに詳細になりますが、平成23年度における国民健康保険料減免要綱第2条の(1)〜(6)号まで、適用条項別の件数についてもお答えください。
 3点目は、社会保障制度を実施しているという観点からの職員の市民相談に対する接遇の向上の課題です。これはあまり言いたくはないのですが、私とお話し合いさせていただいた方々は、濱田市長になって改善されたとおっしゃっていましたので、伝聞事実としてご披露させていただきますが、私自身はまだまだ不十分だと考えています。改善されたと言っても、以前に職員に上から目線で接遇されたトラウマが残っている。相談に行くのに躊躇する。誰かついて行ってほしいというのが私どもや市民団体に寄せられる皆さんの平均的な声なのです。このことについても改善が求められますがいかがお考えでしょうか。


(3問目)
国民健康保険制度は、1問目で健康福祉部長にご答弁いただきましたように、国民健康保険法では社会保障制度であると位置づけられています。「高福祉高負担がいいのか、低福祉低負担がいいのか」という選択の問題ではなく、保険という制度を活用した社会保障制度というのは、一般的に「必要に応じた給付が能力に応じた負担で受けられる制度」と言っていいと思います。しかしながら高槻市国民健康保険の実態は部長のご答弁によりますとこの趣旨にはほど遠いものがあると言わざるを得ません。
 3つの健康保険制度の保険料を比較していただきましたが、年額ではわかりにくいので月額(げつがく)に直して比較してみます。すると国民健康保険では月額26,000円、協会けんぽで17,600円ですから国民健康保険が8,400円高い。共済では15,500円と国保と比べて10,500円高いということになります。これで国民健康保険が他の健康保険と比べても高すぎる現状がおわかりいただけたと思います。この例は40歳未満ということですが、ここに、40歳以上になると介護保険負担分が付加されますし、65歳以上は別途介護保険料を支払わなければなりませんから、もう値上げできる限度を超していると言っていいと思います。
 次に国民健康保険料の高い内訳を見ていきます。部長が指摘されましたように、国民健康保険には応益割と言って世帯あたりいくらという平等割と、被保険者1人あたりいくらという均等割が、収入の少ない人、所得のない人にもかかって来ます。もちろんこの応益割には20%、50%、70%という収入申告をすれば減免される条例で定められた減免制度があるわけですが、とにかく所得が低くてもかかってくる。定額ですから所得の低い人ほど負担が重くのしかかってくるという消費税や介護保険料、後期高齢者保険料に似た逆進性という他の健康保険の保険料とは違った問題が存在するということです。
 さらに国民健康保険には、所得に応じた所得割がかかってきます。国は平成25年度から、この所得割について、「旧但し書き方式」で算定するようにしていますが、高槻市はすでにこの方式で賦課しています。これまでの国民健康保険法には保険料の所得割算定方法に3方式がありました。本文方式、市民税方式、それに今お話しした旧但し書き方式ですが、この旧但し書き方式が世帯の実態を全く反映しない所得がない又は所得の低い世帯を直撃しているという実態があります。この応益割と「旧但し書き方式」の2つの保険料問題は、保険者である高槻市自身を含む市町村段階でも矛盾を少しでも和らげていくことが出来る問題です。そこで機能するのが市町村の保険料の要綱に定める減免です。高槻市には高槻市国民健康保険料減免要綱があります。この要綱に即して問題点を見つめていきたいと思います。
まず、規制緩和の中で増加してきている極めて非正規に近い個人事業主にされた人たちと、長期の不況にあえぐ零細企業経営者の方々の問題です。これらの方々は税制上の必要経費がほとんど認められなかったり、夫婦2人で働いて得た収入なのに、家内労働者としての控除が65万円しか認められなかったりという状況の中にありますが、その重税感に追い打ちをかけるように国民健康保険料やその他の社会保障関連経費ががその生活を圧迫している現状があります。
 これも協会けんぽと比較しながら述べたいと思いますが、協会けんぽでは保険料が標準報酬月額で決まります。しかし、3ヶ月平均で2等級以上の変化があればその等級への引き下げも可能なのです。一番最初に例に挙げた世帯で言いますと、月額30,000円、つまり10%の所得減少があると再計算が行われるのです。それに比べて国民健康保険高槻市の3号減免は「申請者の属する世帯の世帯主と被保険者全員の申請月を含む前後3ヶ月の収入から算定した年間所得見込みが、(中程を略します)30%以上減少」と大変厳しくなっています。先の例の280万円の所得、約23万円の月収ですが、これが16万円にならないと減免されないのです。
そして、年間所得見込みが少し改善したとしても、翌年度さらに30%所得が落ち込むとすればその世帯にとっては大変な事態です。高槻市は所得が低いことだけを理由にした保険料減免制度をもっていませんから、その翌年、その翌々年と考えると、この条項で減免することは事実上出来なくなってしまう。後は生活保護による医療扶助しか残っていないわけですが、零細企業であっても一定の事業手段をお持ちですから、生活保護にいう「その地域の低所得世帯との均衡を失しない規模の事業資産」「1年以内に収入増が見込める事業資産」しか保有は認められず、結局は事業を縮小せざるを得なくなるため生活保護申請も出来ない。零細企業者の労働意欲、勤労意欲を減退させることになってしまっており、理不尽な制度になっているとはお考えになりませんか。前に座っておられる方が、明日から事業主としてはたらくことになったらどういう立場におかれるか、そうした観点からお考えなおしいただけないでしょうか。
 このように、国民健康保険料を払うことも、受診して一部負担金も支払うことも困難になってくるという事情の中で、社会保障にかかる負担金で社会保障が受けられないという事態が生じています。何から削るか。将来の生活費を削る。これが昨日報道された「国民年金保険料未納、最悪で26%、生活苦が最多」の朝刊の報道の実態です。これに夕刊で報道されたインフレターゲット施策で、スタグフレーションが起きれば大変なことになります。全日本民医連が2011年3月に公表した資料で、2010年に経済的理由で受診が遅れ死亡した例は71例うち42例、約60%が国民健康保険被保険者(無保険証状態の人を含む)であったとされている。これが実態なのです。
 次に、部長は5号減免については0件であるとおっしゃいました。5号減免の条項は「被保険者の死亡又は傷病により、その者の収入が著しく減少し保険料の納付が困難になったとき」と定めています。高槻市国民健康保険加入者は約96,000人です。その中に死亡又は傷病により収入が減少して国民健康保険料の支払いが困難になった方は1人もいらっしゃらなかったのでしょうか。この減免条項は「国民健康保険のしおり」のどこを見ても掲載されていません。部長のご答弁は「この条項の周知徹底が出来ておりませんでした。」というご答弁と全く同じであることを指摘しておきたいと思います
次に6号減免についても部長は0件であるとご答弁なさいました。ところが私のところに寄せられるご相談には、6号の要件にある「その他特別の事情があるとき」というのが一番多いのです。私は要綱制定時からのこの6号の適用例を聞きたいくらいなのですが、実質上は使われない「存目規定」と言わざるを得ません。一番多いのは、元々収入が低い方、特別な支出があった方、障がいやひとり親という特別な事情がある方の保険料問題です。この問題に高槻市は全く手をつけようとしていません。
 2011年度の大阪社会保障推進協議会の調査を見ましても、高槻市にはない低所得者減免を実施している市町村が大阪府下で18カ所あります。北摂7市でも、お隣の摂津市では生活保護基準と同等の場合に所得割60%、1,1倍以下の場合に40%が減額されます。池田市では同様に80%、70%が減額されます。このように生活保護の基準生活費と比較して減免している所が12市町村あります。さらに、所得金額を基礎控除だけでなく他の人的控除も入れて補正して比較したりしている市が6市です。さらに、障がいのある方がおられる世帯、ひとり親世帯、医療費が高額になる場合などの減免もあり、高槻市の減免制度は他市に比べて見劣りのするもので、先ほど申し上げた低所得者を直撃する応益負担から応能負担への修正がほとんど出来ていないと言えます。ぜひ大阪府下の先進市町村を見習って減免要綱を改めていただきたいと思います。
私は先ほど社会保障制度であることを前提にした職員の接遇向上をお願いしました。これに対するお答えは「滞納者に対して上から目線のような対応はしていません。」とのお答えでした。その答弁こそが上から目線なのです。職員自身が意識して「上から目線の対応」をしたなら重大な問題です。「上から目線」というのは受ける方が使う言葉、受け身の言葉なのです。職員が対応したその態度が市民の皆さんにどのように写るか。私が「こんなことを言われた」というご本人と一緒に窓口に行く。職員の方は「そんなことは言っていない。」とおっしゃる。押し問答です。私は「それではこの方がそういうように間違って受け止められたことをあなたはどう考えですか。」とお尋ねすることにしています。公務員は市民にどう受け取られたかが常に問題になるのです。それが市民に奉仕する公務員の基本姿勢であることを最後に申し上げておきたいと思います。
 今回の一般質問では国民健康保険の保険料問題のみしか採り上げられませんでしたが、国民健康保険の問題は大きくは高齢者の医療費とその負担をどうしていくかという問題に帰結するとも考えます。この問題は次回以降に又取り上げさせていただくことにしたいと思います。
 さて、先の衆議院選挙はご承知の結果に終わりましたが、反原発、消費税反対、景気回復、反貧困、憲法を守れという声は大きく響き合っているように私は思います。2大政党の衆参両院のねじれは、住民と政府のねじれに変化したように思います。こうした時代に高槻市が、住民の自治組織としてその機能を十分に果たしていただき、福祉の分野でも住みやすさ�・1と言われるようにしていただくことを最後にお願いして私の質問を終わります。