原発停止で海の生態系に劇的変化が起こっている

 今、日本国中の原発がすべて止まっている。

 4月12日のMBS報道特集」は、原発の長期間停止で、その周辺の海に大きな変化が起こっていることを特集していた。
 
 その場所の一つは、6月末にも原子力規制委員会の審査が終わり、8月にも再稼働と「産経」が報じている川内原発の南部、いちき串木野市北西部の海だ。

 川内原発が出来てから、この地区の羽島漁協定置網漁の水揚げは20年で数分の1になったという。これは海藻がなくなったからだという。ところが、原発が2年半稼働停止になっている間に、海藻が生育できる状況に少しずつ変化が生じ、磯辺でもひじきが生育し始めているという。海水温が原発からの温排水で暖められていたのがなくなったのが原因と推定されている。

 佐賀県玄海原発周辺でも事情は同じ。2006年に調査したときは全く海藻が生えていなかったのに、現在では海底に少し海藻が生えてきているという。海藻は暖かい海では生育できないのだ。
 魚も変化している。原発稼働中は南の海の魚が生き残れることで、色鮮やかな魚やキビナゴなど暖かい海に生息する魚が多かったが、それがいなくなっている。

 若狭湾原発でも事情は同じ。ここでは京都大学の益田玲爾准教授が。高浜原発近くの海で10年間潜水調査を継続されていた。益田先生によると、高浜原発稼働停止から数日間で、寒さで息絶えている魚を見たと言われる。
また、ここでも現在海藻の一種ホンダワラなどが生い茂り始めている。サザエやムラサキウニなどの原発稼働前に生息していた生物が復活、稼働中に見られたガンガゼ(ウニの一種)も稼働停止後2週間で死に、1ヶ月後には長いとげしか残っていなかったという。
 原発周辺の海は水温が2度高くなっていたのだ。人間にとって空気中の2度はどうにでも調整できるが、魚にとっては生死を分けてしまう水温なのだという。
 益田先生は火力発電所でも同じ研究をなさっているが、海に変化は起きていなかった。

 これらの事実から考えても、如何に原発が自然環境を破壊するものなのかよくわかる。
 
 原発を「エネルギー基本計画」の中で、ベースロード電源として位置づけ、再稼働に向けてまっしぐらに進む安倍政権の危険性が示されていると言うべきだろう。